2015年10月7日水曜日

【LNよもやま話 #19 MRP】

今回は「MRP」の話です。MRPとは、Materials Requirements PlanningもしくはManufacturing Resource PlanningMRP II)とかの略です。MRPについて簡単に言うと、
いつ?何を?どれだけ?
買ったり作ったりすればよいのかコンピュータに計算させよう、ということです。
例えば、貴社にて10機種のパソコンを製造していたとします。パソコンの中には沢山の電子部品が入っています。それらの電子部品がパソコンの販売計画に基づいて計算された生産計画に合わせ用意されている必要があります。パソコンに組み込む電子部品がいつ必要なのか?そのためには、いつ部品を発注する必要があるのか?を計算させる仕組みがMRPです。
しかし、世の中は単純ではありません。
パソコンの組立に2日間必要である場合、パソコンの組立前に全部品を揃えると部品在庫を最長2日間抱えることになってしまいます。それならば組立工程ごとに部品を納入させればよいかと思うと、部品業者からの納入は1/週だったりします。さあ、どうしましょう?
モデルAの売れ行きが絶好調で生産量を増加させたいがモデルBは生産量を減らしたい。しかし、とうの昔に各々のモデルの部品は発注済みである。さあ、どうしましょう?
部品の製造業者が突然倒産した?さあ、どうしましょう?
前工程と後工程で工場が違う?さあ、どうしましょう?
生産の為の所要量計算だけでなく、サービスパーツの需要予測も必要。さあ、どうしましょう?
新製品の発売日が迫っているのに最終仕様が決まってなくて最終組立できません。さあ、どうしましょう?
設計変更で新部品を組み込むことになりましたが、旧部品の在庫がたんまりあります。さあ、どうしましょう?
これらの様々な要因を解決するための設定は、あなたが今使用しているMRPで可能ですか?

LNMRPでは上記のような例外、ただし製造業にとっては日常的に発生すること(←何か表現が変ですね)に対し、様々な機能を有しています。それは、LNが「複雑な製品と複雑なサプライチェーンをもつグローバル製造業」に育てられてきた結果です。

ボーイング社の工場の脇に、日本から空輸された主翼が雨ざらしで山積みされていたらシャレになりません。ちなみにボーイング社は純粋なMRPではなく、LNAssembly Planning & Controlという仕組みを使って高度な生産計画&管理をしています。この話は機会があれば。

そもそも御社では部品表や生産工程がデータ化されていない?まずは、そこから始めましょう。

(追記)

あるWebサイトに「MRPは中小企業を中心に普及してきた」という記述がありました。本当ですかね?

2015年5月26日火曜日

【製造業の基幹システム #15 ERP導入の成功と失敗】

今年に入ってから隔月での更新になっています。

「ネタが尽きた?」

いえいえ、そうではありません。実は沢山の原稿は既に執筆を終わらせています。毎月の公開前に客観的に読み直して、次から次にボツにしているうちに2カ月が過ぎている、というのが実情です。ボチボチと公開しますので気長にお待ち下さい。

 

さて、各ERPベンダーやパートナー各社のホームページには「導入事例」が紹介されていることが多いかと思います。そこで紹介している事例は、いわゆる「成功事例」ですが、何を以て「成功事例」ということができるのでしょうか。

ERPを導入後に経営に寄与するような効果があった。

ERPを使って業務が円滑に運用されている

などの事項が当てはまる事例が成功事例と言えるのかもしれませんが、ERPを提供する立場からみると、これらのような事項のみでは「成功事例」としてホームページ等に記載することはできません。重要なのは、

ERP導入企業の責任者が、そのERPもしくはベンダーを宣伝してくれるか?

と言うことです。

 

ERP稼働10年経過したA社を、ERP稼働直後のB社にご紹介させて頂いたことがあります。B社は稼働直後にトラブル続きで、業務運用にも支障をきたしかねない状態でした。

B社「このERPで、よく業務運用が出来ていますね~」

A社「?」

B社「どうやって○○業務の管理をやっているのですか?」

A社「○○のデータを使って分析するような仕組みを作りました」

B社「どこに開発を依頼されたのですか?」

A社「自分達で作りましたけど」

B社「うちには、そのようなスキルを持っている人がいないのです」

A社「うちにも居ませんでしたが、勉強させました」

 

A社の方は「別に大したことをやっているつもりは無いんだけどなぁ」という感じでした。

このままの状態では、恐らくB社が「成功事例」となることは永遠にないでしょう。B社のERP責任者が、そのERPを宣伝することは無いですから。

その後、B社は、ERPの責任者が変わり、「色々あったけど、自社のERP導入は成功した」という事例発表を行いました。もちろん、B社のERP運用については日々改善を進めていましたが、ここで重要なのは「『成功』と宣言した時点で『成功事例』になる」ということです。

同様に、「失敗」と宣言した時点で失敗事例になるとも言えますが、失敗事例をわざわざ公にするベンダーはいません。「これをやらないで失敗した」「これをやったので失敗した」という話は、公では無い場所でこっそり尋ねてみて下さい。

2015年3月31日火曜日

【LNよもやま話 #18 BaanIVとLNの違いって何?】

Infor LNの前身のひとつが1996年にリリースされたBaanIVですが、現時点でもBaanIVを使っている企業は数多くあります。なぜ、そんな昔のERPが今でも使用出来る理由についてはLNよもやま話 #12 Porting Setって何よ?】をご覧頂くとして、BaanIVからLNへアップグレードについてご相談頂くこともあります。今後もBaanIVは最新プラットフォーム上で動作し続けるので、アップグレードする理由が無ければ無理やりアップグレードする必要はありません。
もちろん、BaanIVからBaan5、そしてLNになる過程で数多くの業務機能、技術機能が追加、改善されています。もし、下記のような「BaanIVでは出来なかったことがLNでは出来ること」に大きなメリットを感じるBaanIVユーザーはLNへのアップグレードを検討してみては如何でしょうか?

BaanIVLNの主要な相違点>
・各種オーダの桁数が6桁から9桁になった
・各種オーダに日付だけでなく時間(時分秒)を持つようになった
・品目桁数が16桁から38桁になった
・カスタマイズ工順、カスタマイズBOMが標準工順、標準BOMと同一テーブルになった
PRPDRPMRP機能が、ひとつの処理にまとめられ、1回で全てを実行できるようになった
・販売、購買などの全ての入出庫処理がひとつの機能にまとめられた
・販売、購買などの全ての請求処理がひとつにまとめられた
・製造、プロジェクトなどの全ての時間会計処理がひとつにまとめられた
・顧客、仕入先マスタがひとつのマスタにまとめられた
・販売、購買オーダステップに「自動実行」フラグが付いた
・ロットとシリアルを並行で持てるようになった(どちらでもトレース可能)
・会計ディメンションが最大12種類になった
・サービス管理機能の大幅な機能拡張
UIWebブラウザになった(BWのインストール不要)
・画面表示項目の選択や見出しの変更が使用している画面から出来るようになった
・データの条件により(例:納期遅れ)データの表示色を変更できるようになった
・ユニコードの採用によりひとつのインスタンスで多言語を取り扱えるようになった
・各種名称を多言語で持てるようになった
Excelへのデータエクスポート、Excelからのデータインポートが画面からボタンひとつで可能
・ライセンス管理の仕組みがERPから独立した(複数ERP環境をまとめて管理可能)

ここに挙げた以外にも数多くの機能追加、改善がありますが、コンセプトとしての違いもあります。BaanIVが開発された当時のコンセプトは、「製造業のためのERP」でしたが、世間一般的には「工場のためのERP」と理解されることもありました。現在の製造業においてはグローバル分業化が進み、かつグローバル統制管理が要求され、より一層の変化対応力も要求されます。これらの要求に応えるためのERPとして「真のグローバル製造業のためのERP」というコンセプト(単に工場の業務管理システムではない)で更なる進化を続けているのがInfor LNです。


ちょっと表現が大袈裟ですかね?

2015年1月30日金曜日

【LNよもやま話 #17 MANMAN、MKって聞いたことありますか?】

いきなりですが、貴社、もしくは貴社の関係する製造業で「MANMAN」「MK」というアプリケーションを聞いたことはありませんか?

もし、使っている、使っていたという話を聞いたことがあるのであれば、次の質問です。

実は、「MANMAN」「MK」もInfor LNの傍流であるということをご存知ですか?
 

Infor LNの源流をたどれば、オランダのBaan社(英Invensys社に買収後、米SSA社に買収。現InforSSA社をまるごと買収)にて開発された製造業向けERPであることは以前にも書きました。

1980年代から90年代にかけて、オランダの小さなソフトウェアベンダーであった旧Baan社は開発したアプリケーションを世界に拡販するために、そのソフトウェアをいくつかの会社へOEM供給しました。OEM先はHP社であり、ASK社などです。

HP社にOEM供給されたERPは「MANMAN/HP」と呼ばれました。またASK社にOEM供給したERPは「MANMAN/X」と呼ばれました。本家のBaan社では「BMCS」「TRITON」と呼んでいたころの話です。

OEM先では、MANMANに独自の改造、追加を加え、(当時のBaan社とは比べ物にならない)広い自社グローバル・ネットワークを使って世界中の製造業へ「MANMAN」を販売しました。

その後、ASK社は米CA社に買収され「MKManufacturing Knowledge)」というビジネスユニットとなり、「MANMAN/X」も「MK」に改名されました。

もちろん、OEM供給された「MANMAN」「MK」も、現Infor LNと同様の技術基盤(※)を持っていますので、長年にわたり製造業の基幹システムとして使われていました。

(※)お暇があれば、LNよもやま話 #12#13をご参照下さい。

 
その後、CA社のビジネスユニット「MK」は、製造業向け以外のアプリケーションも取り扱う「interBiz」というビジネスユニットに統合されました。

ここで、Infor社マニアの方は気付いたかもしれません。Infor社が買収した、旧SSA社は2002年(2003年にBaan社を買収する前!)に、CA社から「interBiz」を買収しています。

うーん、ややこしい話ですね。

簡単に言うと、1992年に旧Baan社から旧ASK社へ旅立ったアプリケーションが世界中をぐるりと回って、結局は現Infor社が所有しているという話です。
 

もし、貴社、もしくは貴社の関係する製造業で「『MANMAN』『MK』を20年使っているのだけれど、そろそろ次期ERPを検討しようと考えている」というような話を耳にされたら、是非Infor LNを第一候補に推薦して下さい。次の20年、もしくはそれ以上の年月をInfor LNで管理することが出来るはずです。

2014年12月25日木曜日

【LNよもやま話 #16 個別受注生産製造業】

久しぶりにInfor LNに関する話を書きたいと思います。

さて様々な業種、業界、業態の業務システムで一番導入難易度が高いシステムは何でしょう?

天気予報システム?しかしながらInfor LNには天気予報機能はありません。Infor LNが市場としているのは「組立製造業」です。部品や原材料を組立、加工して製品をつくる製造業です。

さて、「組立製造業」といっても様々な業種、業界、業態がありますが、単純に下記の4つに分類してみます。

・見込生産型(市場の需要を予測して、標準製品を生産する)

・受注生産型(注文を請けて、標準製品を生産する)

・受注組立型(注文時に標準オプションを選択させ、顧客仕様製品を生産する)

・個別受注生産型(個々の注文毎に新規設計し、顧客仕様製品を生産する)

ひとつの製品でも、製品を構成するユニット、コンポーネントは見込生産している標準品かもしれません。また、受注組立型で選択するオプション仕様は全て標準品で構成されると考えます。

例えば、東京都庁の建物は個別受注生産ですが、ほとんどの建売住宅は見込生産型、ハウスメーカーによる多くの注文住宅は個別受注生産のように見えて実は受注組立型です。

 

もちろん、これら4分類の中で一番ヤヤコシイ仕組みは「個別受注生産型」の製造業ということが出来ます。

納期とコストを最も小さくして市場競争力を高めるためには、出来るだけ標準化、共通化し、出来るだけ受注組立型に近付けることが必要ですが、様々な理由によってどうしても個別設計が必要な場合があります。

なので、

・営業部門と設計部門のシームレスな連携(見積仕様)

・営業部門と調達部門のシームレスな連携(先行調達)

・設計部門と生産部門のシームレスな連携(製品仕様)

・設計部門とサービス部門のシームレスな連携(品質情報)

・案件単位に様々な原価を管理する仕組み

などの部門をまたがった業務連携が非常に重要です。

おや、ここで気付きましたね?まさにERPの真骨頂です。

どんなに大量の製品を製造していても、単純な製品を見込生産する仕組みは単純なシステムで実現出来ますが、個別受注生産製造業のシステムは上記4分類全ての製造業が必要とする業務管理機能をシームレスに連携するシステムが必要です。

Infor LNが航空防衛業界や産業機械製造業などに広く普及しているのは、このような理由によります。

単純な「生産管理ソフト」を導入しただけでは、個別受注生産型の製造業の効率化には程遠いことを分かって頂けたでしょうか?

2014年11月28日金曜日

【製造業の基幹システム #14 ERP導入体制】

今回は「ERPの導入体制」について書きますが、ぼやっとした話になるかもしれません。なぜならば「これが正解」という導入体制は無いからです。とは言っても製造業向けERPを導入するために必要なタスクは概ね決まっていますから、主に異なるのは自社リソースと外部リソースの役割および責任分担です。

例えばインフォア社にはOPIMOne Point Implementation Methodology)という導入方法論があります。これにはERPの導入において必要なタスクを漏れなく定義されていますが、これさえあれば、全てのERP導入プロジェクト計画が出来上がりという訳ではありません。

ERP導入プロジェクト体制を立案するに当たり、

・文化

・予算

・歴史

などを考慮する必要があります。よって、全く同じスコープで同じ導入規模であっても導入に関わる外部費用は大きく異なる可能性があります。

例えば、企業文化(体質)は最も大きく導入体制や、費用に関係する事項かもしれません。ERP導入に最も適さないのは「縦割りで丸投げ」文化です。事業の全体像を分かっていて(部分最適では無く)全体最適を目指して「有るべき姿」を描くとこができ、意思決定し、実行することが出来る人は誰もいないかもしれません。このようなERP導入の根幹に関わるような事項を外部のコンサルタントに委託することも可能ですが、このようなコンサルタントは非常に高価です。しかしながら、ここでケチると必ずERP導入は失敗します。自社の文化は「風通しがよく、部門間の隔たりがなく、自由に意見を言える環境で、親分肌のマネジメント層も沢山いる」という企業は、外部コンサルタントはアドバイザー的な役割でよいかと思います。

そうは言っても、予算には限界が有りますから、「お絵描き」や「資料作り」をばかりをやっている優秀(で高価)な外部コンサルタントを沢山雇っても、いつまでもERPは稼働しません。「有るべき姿」に対して、ERPをシミュレーションして、実際にERP上で業務が運用できるかどうかを検証する必要があります。もしも自社でそのような「手足」としてのリソースが不足するようであれば、これも外部から調達する必要があります。

また、企業の歴史もERP導入体制に影響を与える要素のひとつです。「大きく変化し続けた歴史が我が社の歴史」という企業はERP導入が最も容易な企業かもしれません。変化を経験し、その変化にどのように対応したかというノウハウはERP導入に際して貴重な経験です。もし自社内にそのような人材がいるのであれば、プロジェクトに是非とも参画させるべきです。もし、自社の歴史において大きな変化もなく、そのような経験をした人材もいないのであれば、「企業が変化する時に何が起きるか?」を分かっているコンサルタントを参画させるべきでしょう。

もちろん、「ERPとは何か?」を分かっている人材、導入するERPの詳細を理解し、説明出来る人材も必要です。一般的には、ERP導入プロジェクト初期段階で自社プロジェクト中心メンバーがERP機能のトレーニングを受講しますが、数週間から数カ月でERPの隅々まで理解できる程ERPは甘くありません。そこで、ERPを熟知したアプリケーションコンサルタントを外部に委託することになります。

さて、ここまで述べたことをまとめると

1.将来像を描き、変化を予測することが出来る「頭脳」

2.黙々とシステムを検証する「体力」

3.ERPの機能を知り尽くした「知識」

の3つにおいて、自社リソースに不足している分を外部から補うことでERP導入体制が完成します。

もちろん、自社業務を理解している人材をプロジェクトに参画させることは必須です。この人材は外部から調達することはできません。

え?自社業務を理解している人が居ない?

ERP導入は、もう少し後にした方が良いかもしれません。

2014年10月29日水曜日

【製造業の基幹システム #13 ERPの選定について】

前回は「次回は楽しい話が書けたらいいな」と終わったにも関わらず、余り楽しくない話になりそうです。

さて、いきなりですが

ERP導入を検討している製造業のほとんどはERPを選定する能力がない」

と思います。

頭に「日本企業の」と付けてもいいかもしれません。

多くのERP導入を検討している企業は次のようなステップで選定を進めるかと思います。

1.課題の認識

2.情報収集、調査

3.新システムの目標、目的の明確化

4.新システム構想策定

5.各社へ提案、見積依頼

6.提案、見積結果の評価

7.最終選定・契約

これらのステップのいくつか、もしくは全てに外部の人間を参画させていますか?もしくは自社の選定プロジェクトメンバーに他社でのERP選定・導入経験がある人物は含まれていますか?

財務会計や人事給与システムであれば、「なんとなく使い易そう」「プロマネやる予定の人はいい人そうだ」「初期費用が一番安価だ」という選定方法でよいのかもしれませんが、生産管理を中心とした製造業の基幹システムをそのような基準で選定していいものでしょうか?

綿密に自社の仕組みや候補としたERPの仕組みを調査・検討・評価しているから大丈夫という訳ではありません。逆に、自社の文化や業務、既存のシステムを知り尽くした人ほど、自社ERPの選定においてはネックになる場合もあります。

なぜならば、ERPの選定、導入には必ず取捨選択が必要だからです。「この機能は絶対に必要」「この画面では業務は回らない」・・・本当にそうでしょうか?かつて良く言われた「ERPはベストプラクティス」という言葉は好きではありませんが、自社で思い描いた新システム像を押し通すことによる様々なリスクやデメリットがあることを忘れてはなりません。

もちろん、選定を外部へ丸投げすることも避けるべきです。培ってきた自社の文化や強みを新システムに吹き込むには必ず自社のメンバーが責任ある立場で選定することが必要です。

『提案プレゼンテーションが上手な会社が必ずしもERP導入が上手とは限らない』

ということを十分に認識する必要があります。

これらのことを踏まえたERPの評価・選定は、ERPの選定・導入を経験した人ではないと不可能です。はっきり言います。不可能です。

冒頭に書いた

ERP導入を検討している製造業のほとんどはERPを選定する能力がない」

とは、そのような人がERPの評価・選定に参画していない場合のことを言っています。

そして、そのような場面に良く遭遇するということです。
 

2014年9月30日火曜日

【製造業の基幹システム #12 製造業向けERP業界】


私は約20年間「製造業向けERP業界」で仕事をしていますが、この業界内部のことも少しお話ししたいと思います。もしかすると、この業界に興味がある学生の皆さん、この業界へ転職しようとしている社会人の皆さんに少しばかりお役に立つかもしれません。


20年以上前、私は「総合商社オンラインシステム」や「公益法人会計システム」など製造業とは関係ない業界に関わっていたという話は以前に書きましたが、これらの業界と「製造業」に関わる人たちは文化も考え方も全く異なります。

バブル時代の商社は裏方であるシステム関連の人たちも皆さんが想像されるような「バブル」のイメージでした。女性は前髪が「竹輪」、男性のスーツと言えば「ソフトスーツ」です。公益法人の方は経理部の方が「算盤」で計算しているという時代でした。

同様に、製造業には製造業のノリ(文化)があります。製造業に関わる方々と一緒に仕事をするためには「製造業のノリ」を理解し、そのノリに乗ることが重要です。


昔は生産管理システムに関わる人は「生産管理ヲタク」が多かったのですが、「ヲタク」と言っても強面のおっちゃんです。いいモノを早く、安く作るために日夜考えて検証、実践しながら業務とシステムの仕組みを作ってきたおっちゃんです。このようなおっちゃんに「欧米系生産管理パッケージソフトウェア」を採用して頂くことは至難の業でした。

まず、言葉が通じるようになるまでが大変です。メーカー毎に方言があり、「製番」「工番」「作番」などはその一例です。部品表の呼び方も「BOM」「BM」「PS」と様々です。歴史のある会社では数十年、もしかすると百年以上使ってきた言葉を簡単に変えることはできません。そのようなおっちゃんに「ERPはベストプラクティスで・・・」というようなセールストークをしてもコテンパンにやられてお終いです。

今では、そのようなこだわりの固まりのようなおっちゃんも随分減って「使えるものは何でも使う」というおっちゃんが増えてきましたが、他国、他業種と比較すると日本の製造業はプライドが高く、頑なで「うちの会社は特別だから」と言って欧米型生産管理パッケージを採用するハードルはまだまだ高いと思います。

そのような高いハードルを越えることを楽しみに感じる方はこの「製造業向けERP業界」に向いていると思いますが、そうではない方はかなり辛いかと思います。一言で表すなら「知的好奇心」です。私は数多くの製造業向けERPの営業職や技術職の方と接してきましたが、どちらの職種においても「知的好奇心」が少ない方はあっと言う間に潰れてしまいます。

もうひとつ、この業界に従事する人に必要なのは「柔軟な頑固者」という資質です。財務会計システムなどの「答えがあるシステム」と違って生産管理システムは「答えがないシステム」です。お客様の課題解決やシステム要件を柔軟にかつ確たる軸を持ち、大胆にかつ繊細に実現するには「柔軟な頑固者」である必要があります。お客様と表面上仲良くするだけで立派なシステムが実現するようであれば誰も苦労しません。お客様と真剣な喧嘩が出来る位の根性が無いと製造業向けERPの営業職も技術職も務まりません。


ちょっと辛辣な話になりましたね。次回は楽しい話を書けたらいいなと思っています。

2014年8月13日水曜日

【製造業の基幹システム #11 機能が豊富なERP】

申し訳ございません。久しぶりの投稿です。

恐らく、Infor LNは製造業向けの機能が世界一充実しているERPです。Infor LNを乗用車に例えると、「フルオプションの大型高級車」です。走る・止まる・曲がるという基本機能はもちろんですが、前後左右独立のオートエアコン、最高級オーディオ、シートヒーター/クーラー付電動調整シート、様々な走路を想定したセッティング切り替え機能なども装備されています。近所の買い物に乗る程度であれば過剰装備かもしれません。ところが、時と場合により近所の買い物も長距離の高速道路も、たまには砂漠も走行することがあるのであれば、どのようなところも快適に走行可能なクルマが必要になります。「泥道でスタックしたらクルマを捨てて歩くか、泥まみれになってクルマを持ち上げるから大丈夫」というのであれば、無改造のファミリー・カーでラリーに参戦してもよいかもしれません。

私は、様々な製造業のお客様からERP選定の相談を頂いた際にあえてInfor LNをお薦めしない場合があります。「近所の買い物にしか使わない」車を探している人に最初から大型高級車を薦めしないのと同じことです。

要は、企業の大小に関わらず「Infor LN向き」の会社と、そうではない会社があるということです。

単純な製品を繰返し生産し、製品需要も部品供給も安定し、仕入先も販売先も国内のみ・・・という企業は「Infor LN向き」ではありません。装備過剰な大型高級車で近所のスーパーマーケットに買い物に行っているようなものです。駐車場に停めるだけでも大変です。このような企業には例えばInfor SyteLineのようなERPをお勧めします。見栄を張りたいというなら話は別ですが。

製品の部品点数が飛行機並みに多い、製品需要と部品供給のバランスをとりながら製品納期を短縮するのが難しい、仕入先や販売先、自社製造拠点や販売・サービス拠点は世界中に拡がり業務の見える化や整流化を行うのが大変・・・という企業は「Infor LN向き」の企業です。

IT投資額は売上の○%が適正」という都市伝説がありますが、これはITを「省力化の道具」としてのみ捉えた場合の話です。いくら省力化しても抜本的な組織の見直しや業務プロセスの改革を行わない限りは○%の収益改善が限界だからです。

IT投資を「利益を生む投資」として捉える場合は、「売上の○%」という公式は当てはまりません。IT投資によって産み出される金額は、各々の企業の改革内容によって異なるからです。例えばInfor LNを導入したA社は、製品の生産工場移管期間を1年から2-3カ月に短縮しました。これは直接的に利益を創出する効果ではありませんが、経営判断を迅速に実現するインフラを整備したことになります。またB社はInfor LN導入前には(全部繋げると)75mあった業務フローが、導入後には25mに短縮されました。50mにおよぶ業務プロセスを無くすこと(例えば外注先への「有償支給」を止めて全て「無償支給」に変更)により、「部品在庫、製造リードタイムの30%減」という効果としてあらわれました。

これらの効果はERPを単なる便利ツールとして使うのではなく、ERPを活用した企業改革により産み出されたものであり、売上の○%と表すことが出来ない効果です。

ちょっと脱線してしまいましたね。

要するに、Infor LNはこれらA社、B社のようにチャレンジを続ける製造業にこそ向いているERPであり、その豊富な機能が生きるということです。

貴社もInfor LNに乗って、グローバルの荒波を超え世界トップクラスの製造業になってみませんか?

2014年5月30日金曜日

【LNよもやま話 #15 見た目と操作性】

現在は「Infor LN」と呼ばれているERPですが、このERP20年以上前に誕生してから数度の名称変更を経て現在に至っています。その間に業務機能的な機能拡張と合わせ、技術的な進歩も続けています。

そこで、今回は「見た目と操作性」に絞って、その変遷を振り返ってみたいと思います。

1.Triton(~1990年代半ば。日本国内ではTRIMCS

基本的にはUNIXサーバー上で動作していたので、VT端末もしくは端末エミュレータを介して操作。当然キャラクターベースのユーザーインタフェース(CUI)。グラフ表示は「*」の数で表現していました。メニューには数字が並び「1. マスタ 2. 販売物流 3. 製造」という感じです。操作性も汎用機のそれと近く、汎用機から移行しても違和感は少なかったかと思います。

2.BaanIV1990年代半ば~2000年頃)

Windows95の出現により、企業のコンピュータ端末として急速にWindowsPCが普及しました。BaanIVには「BWBaan Windows)」というクライアントソフトウェアが付属し、BWを介してERPを操作していました。出現当時、他のERPは、前述のCUIベースの操作画面が多かったなかで、「グレーのウィンドウ上でアイコンをクリック、グラフやチャートも表示」というグラフィカルベースのユーザインタフェース(GUI)は画期的でした。マウスに馴染んでいないご年配の方は、マウス操作に四苦八苦していましたが、学生時代からPCに慣れ親しんでいる世代には当然の操作性でした。

なお、そのような「マウス嫌い」の方向けにCUI(「BABaan ASCII)」インタフェース)でも操作できるようになっていました。

3.Baan51990年代後半~2000年代半ば)

「一人に一台のPC」という時代に突入し、マウス嫌いを公言するような人も少なくなり、前述のBWBaan Windows)でのGUI操作が基本になりました。ショートカットキーをWindowsOSと統一し、ERP上のデータを「Ctrl+c」でコピーし、Excelに「Ctrl+v」で貼りつけるような操作も可能になりました。

また、インターネット(Webブラウザ)の普及により、Baan5にもWebブラウザベースのユーザインタフェース(「BIBaan Internet)」)が出現しましたが、当時の技術レベル(ハード、ネットワーク)では、とてもレスポンスが悪く、本番運用で使用された例は少なかったかと思います。

4.LN2000年代半ば~)

インターネット(Webブラウザ)技術の発展にともない、LNのユーザインタフェースもjavaをベースにしたWeb UIWebTop)になりました。適切なWebサーバーを使用し、適切なチューニングをしていれば、C/S方式とのレスポンスの差はほとんどなくなりました。

また、先ごろ(javaではなく)HTML5をベースにした、新しいデザインのWeb UI(「LN UI」と言います)も発表されました。これによりクライアントPCへのjavaのインストールを不要とし、各種ブラウザ、OS、デバイスへの幅広い適用が可能になりました。


Infor LNは、「製造業の基幹業務システム」という地味なシステムですが、その時々のテクノロジーを取り入れて「いかにユーザーフレンドリーに操作性を向上できるか?」という視点でも成長を続けています。

2014年4月25日金曜日

【製造業の基幹システム #10 ERPの生まれと育ち】

昨今では全く新しいERPブランドが出てくることはほとんどなくなり、かつてのERPが淘汰され生き残ったものが、各々進化しているような状況です。さて、一言で「ERP」と言っても(「ERP」と名乗っていても)各ERP製品のコンセプトや目指しているものは様々です。

私は、各企業がERPを選択する時に一番注目しなくてはならないのは「ERPの生まれと育ち」だと思います。ERPのような業務横断型の統合パッケージは、ある日突然誕生したのではなく、元になるアプリケーションソフトウェアがあり、そこから拡張してERPを名乗っているものがほとんどです。これが「生まれ」です。また、各ERPは初期~中期の利用企業による各ERPへ機能追加要求があり、機能拡張を繰り返してきました。これが「育ち」です。

例えば、Infor LNは、組立製造業向け生産管理システム(BMCS)から生まれたERPですが、他のERPには会計システムから生まれたERPだったり、プロセス製造業向け生産管理システムから生まれたERPだったりするものもあります。

また、生まれた「地域」にも注目する必要があります。世界中で使われている多くのERPは欧州生まれです。元来欧州では多国籍企業が多く、異なる文化や習慣、法令や規制と接しながら事業を行ってきました。このような企業文化の中で生まれたシステムは、生まれた時からDNAとしてのグローバル機能を持っています。また、欧州各国は近年において多くの「変化」を経験してきました。通貨統合はもちろん、国の存在そのものが変化した国や地域も数多くあります。このような変化に対応するシステムでなければ欧州では生き残れません。

私自身はオランダ(Infor LNの生誕地)の会社、イギリスの会社、米国の複数の会社に所属してきましたが、欧州と米国の企業文化は全く異なりますし、DNAレベルでのシステムの思想が異なります。

さて、ERPとして生まれたシステムは、各ERPベンダーの企業戦略によって成長するのですが、育ち方によっては良くも悪くもなっていきます。かつて私が関係した米国系ERPベンダーは昨年日本法人が無くなりましたが、これも企業戦略のひとつです。Infor LNもかつては様々な業種業態へ対応するような戦略(例えば、BaanIVにはプロセス製造業向けモジュールがありました)をとった時期もありましたが、インフォア社に買収された以降は「組立製造業向けERP」としてターゲットを絞っています。これも企業戦略のひとつです。また、新バージョンに追加される機能は、多かれ少なかれ既存ユーザーの要求仕様が反映されます。組立製造業をターゲットにしたInfor LNは、組立製造業が必要とする機能をこれでもか、という位に詰め込んできました。あえて対象業種を絞り込むことにより、その業種が必要とする機能をバージョンアップ毎に反映しながらも複雑性を抑えることに成功しています。このような「お客様に育てられる」という側面も忘れてはなりません。

このような「生まれと育ち」に注目すれば、おのずとERPの選択肢は数少なくなり、無駄なERP検討やERP選定の時間を節約することができるのではないでしょうか?

2014年3月20日木曜日

【LNよもやま話 #14 結局○○○と何が違うの?】


今までInfor LNが最も多く競合になるのは大手グローバルERPです。LNにお声がかかるような「生産管理機能を含む組立製造業のERP案件」の場合、どちらのERPRFPに記述されているような業務要件については、ほとんどの機能を持っているので992v.s. 989点の闘いのような感じです。で、結局LNと○○○って何が違うのよ?LNって○○○をコピーして作ったERPなの(笑)?と聞かれることもあります。

そこで、Infor LNと○○○の違いについての問答を書いてみました。
【注1:「○○○」は特定のERPを指すものではありません。】
【注2:私は○○○について詳しい訳ではないので嘘八百かもしれません!!!】

 

1.一言で違いを説明して欲しい

Infor LNは製造業向けERPで、○○○は業種を問わないERPです。」

 

2.業務的な側面で違いを説明して欲しい

「○○○は、生産管理機能がついた会計管理システムです。Infor LNは会計管理機能がついた生産管理システムです」

 

3.○○○も多くの製造業で使われているよね?

Infor LNが導入されている製造業の100%は生産管理機能を使用していますが、○○○が導入されている製造業の半分も生産管理機能を使用していません」

 

4.費用的な側面で違いを説明して欲しい

「初期費用は変わりません。ただし、運用維持費用は圧倒的に安価ですので長期間使えば使うほどお得です。」

 

5.すでに○○○を会計や購買業務で使っているんだけど

「では、Infor LNを○○○に連携しましょう。○○○を他の会計システムに連携することはあり得ませんが、Infor LNは他のシステムとの連携は自由自在です。」

 

6.○○○が大企業に入っている事例は良くきくけど、Infor LNは聞かないよね?

「ボーイング社など部品点数が多くてグローバルサプライチェーンが複雑な製造業は○○○ではなくInfor LNを選択しています」

2014年2月5日水曜日

【製造業の基幹システム #9 ERPを「ERP」として使う】

大企業、中堅企業には「ERP」が普及してきましたが、ERPを導入済の会社の中でERPを「ERP」として使っている会社はどれ位あるのでしょうか?

改めて言うことではないのかもしれませんが、ERPとは「Enterprise Resource Planning」です 。直訳すると「企業資源計画」とでもなるのでしょうか?私は、それぞれの単語の中に「ERP」の本質があるかと思っています。

Enterprise

CompanyではなくEnterpriseと称しているところがERPの本質を表しています。海外拠点を含む企業グループ全体、生産管理を含む企業の基幹業務全体をERPで管理している企業はどれ位あるのでしょうか?「グローバルで会計システムをERPで統一している」というのは、私にとっては本来のERPの定義とは異なります。

 

Resource

企業の資源とは何でしょうか?ひと昔前は「ヒト、モノ、カネ」という言葉が使われていたかと思います。ERPを導入していても「モノ」の管理は別の生産管理システムや倉庫管理システムで管理している企業が多く見受けられます。ERPは魔法の箱ではありませんので企業の全業務を枝葉末節までカバーしているのではありませんが(文書作成や表計算は専用ソフトを使った方がよっぽど効率的です)、企業内の基幹業務(すなわち、全ての枝が繋がっている「幹」の業務)においてはERPで管理することにより「ヒト、モノ、カネ」を効率的に管理することが出来るかと思います。

 

Planning

ERPは実行系のシステムと思われがちかと思います。では何故「Planning」という言葉が使われているのでしょうか?これもひと昔前の言葉で「PDCAサイクル:plan-do-check-actサイクル」というのが有りましたが、その「plan」するために必要なものは何でしょうか?占いでplanする企業にはERPは必要ないかもしれません。ほとんどの企業は「精緻で矛盾が無い実行データ」を元にplanしているかと思います。ERPは実行系業務を精緻で矛盾なく管理し、よりよい計画をする為の仕組みである、と私は思います。

※もちろんERP内にも様々な計画機能を持っています

 

以上、3つの単語を改めて考えてみた後で、もう一度質問です。ERPを導入済の会社の中でERPを「ERP」として使っている会社はどれ位あるのでしょうか?

2013年12月18日水曜日

【製造業の基幹システム #8 ERP導入会社の選択】

私はERPを扱うSI会社からERPの経験を開始し、複数のERP開発元に属して現在に至ります。その中で数多くのERP導入会社やコンサルタントに接してきました。ERPはセミオーダーのスーツみたいなものですから、最後の仕上げをする会社(人)によって出来あがりは大きく異なります。

また、その会社(人)の優劣ではなく、自社(自分)にとって最適な会社(人)を選択することが非常に重要になります。

 

スーツに例えると、

・自分の好みをくみ取ってくれ、自分に合った色や形を提案してくれる会社(人)

・自分の色や形に対するこだわりを忠実に再現してくれる会社(人)

・縫製技術に優れている会社(人)

・安く仕上げてくれる会社(人)

・早く仕上げてくれる会社(人)

・話が面白い会社(人)

などの会社(人)がいます。全てが満たされるような会社(人)はいません。なぜならば1番目と2番目の項目は相反する項目だったりするからです。

そこで必要であるのは、「自分にこだわりがあるかどうか?」です。

あなた

「来月妹の結婚式がある。くたびれたスーツしか持ってないからボーナスも出たことだしスーツを新調するかな」

と思ったとしましょう。いきなり紳士服の○○に行きますか?デパートの紳士服売り場に行きますか?それともインターネットで情報収集しますか?

人によってそれぞれかと思います。

スーツにこだわりが有る人であれば、自分の思い描くスーツを仕立ててくれる店に目星がついているか、もしくは下調べをするでしょう。

スーツにこだわりが無い人であれば、とりあえず店に行って店員のお勧めを直ぐに購入するかもしれません。

どちらも正解です。

不正解は、スーツにこだわりがあるにも関わらず下調べもせず飛び込みで店に入って、馴れ馴れしい店員に安っぽい生地やボタンを薦められ「私が欲しいのはこんなスーツじゃないのになぁ・・・」と思いつつ買ってしまうか、もしくは店を出て時間を無駄にすることです。

その逆も不正解ですね。こだわりがないのにサッサと買わずに店員とのムダ話で時間を無駄にすることです。こだわりがある人が行くような店では無い限り、店員は売り手の論理で薦めているだけだと言うことに気付くべきです。

ERPの導入会社やコンサルタントも同様です。何でもいいから早く安く仕上げたいのか、こだわりを持ってERPを導入したいのかにより相談、委託する会社(人)は異なります。

また、セミオーダーのスーツでもERPでも「安価」「高価」には必ず理由があることを肝に銘じておく必要があります。

2013年11月19日火曜日

【製造業の基幹システム #7 計画系システム】

私は製造業向けERPに関連する仕事に従事していますが、一般論としてERPは業務管理系のシステムであり、いわゆる「計画系」と呼ばれるシステムは別途構築する場合も多いかと思います。

狭義での「計画」機能はEnterprise Resource Planningという名の通り、ERP本体で需給計画や資源計画機能などを有しているかと思いますが、一般消費財の需要計画や複雑なグローバルサプライチェーン計画、計画の策定と評価や分析などには、各々の計画専用のシステムを活用することにより、より最適な「計画」を自動的に立案することも進んでいるかと思います。

・生産計画(APSPlanningScheduling
・プロジェクト計画
・配送(配車)計画
・購買(調達)計画
・(最適)在庫計画
・販売(需要)計画
・人員(配員)計画
・設備投資計画

・・・まだまだ沢山の○○計画がありますね。 

また、これらの計画機能をERP本体に有していたとしても、あえてERP外で計画した方が良い場合もあるかと思います。

例えば、
・複雑なシミュレーションを繰り返す為、ERP全体のパフォーマンスに影響を及ぼす
・商流や生産に直接関係しない人員計画
ERPで詳細定義をすると山のように会計仕訳を生成する
のような場合、計画機能はERPの外で処理した方がよいかもしれません。

要するに、ERPの導入にあたっては、
ERPにはより確定に近い状況のデータを処理する(現場を混乱させない)
ERPには在庫、会計に関わるデータを処理する(ムダなデータを蔓延させない)
ERPは幹の業務プロセスを管理する(枝葉をキレイに剪定する)
という基本指針が必要です。

ひと昔前は、これらの計画系アプリケーションとERPとの連携がネックとなっていたりしましたが、昨今ではアプリケーション連携技術も急速に発展、標準化されてきました。また、様々なアプリケーションをひとつのアプリケーションの様に「見せる」技術も発展し、「色々なアプリケーションを使い分けるのも面倒くさいなぁ」ということは減っているかと思います。

また、製造業向けERPに関しては、ERPで莫大な部品のMRPを回すと処理時間がかかるので、MRPだけ外出しのオン・メモリ高速MRPで処理するようなことも盛んに行われていました。これも昨今のオン・メモリDBの発展などによりERP自体が高速化していますので、単に高速化だけを実現するアプリケーションは衰退していくでしょう。

そのようなシステム的な制約よりも業務的な役割分担によりERPと計画系アプリケーションとの分担を決定することが多くなってきたからこそ、各計画系アプリケーションの本質を見極める必要性が高くなってきました。「早い/遅い」「出来る/出来ない」よりも「本質的にどちらで処理すべきか?」ということです。

すなわち、ERPを「精度が高い業務データを矛盾、重複なく流す」ことに徹し、それ以外の「流れない(行き先が無い)データ」「グルグル回っているだけのデータ」「ある時点のみをとらえたデータ」はERP外で管理すべき、だと私は思います。

2013年11月1日金曜日

【LNよもやま話 #13  MIRACLEから歴史が始まるLN技術】


LN関係者で、「MIRACLE」を知っている方は少ないのではないでしょうか。TritonTrimcsBMCSなどはこのブログにも書きましたが、MIRACLEについては未だどこにも書き起こしたことがありません。個人的には、このMIRACLEMachine Independent Risc Architecture Computer Language Environment)が無ければ現在のLNは無かったと思っています。 

ERPが普及した現在においても、グローバルで生産管理分野をERPで統一、統制している組立製造業は多くありません。それはなぜでしょう?

装置産業、プロセス製造業と比較すると、組立製造業の工場は、小規模であり、新設/移転が多く、製品/生産設備は一定ではありません。20年前と同じ場所で、同じ設備で、同じ部品を使って同じ製品を作っている組立製造業は亀の子たわし・・・他に何かありました?

そのような様々な環境変化に追従する必要があり、グローバルでシステム統一、統制することが一番難しいのが、組立製造業の生産管理システムだと思います(人事給与や税金系などの国ごとに規制・法令対応が必要なシステムはさておき)。

さて、ここで「MIRACLE」の登場です。LN生みの親であるBaan社はハードウェアやOSに依存しないアプリケーションを作ることを第一義に掲げ、各社UNIX上で動作する開発環境を作りました()。これが「MIRACLEMachine Independent Risc Architecture Computer Language Environment)」です。開発言語は「Baan 4GL」というC言語を発展させた独自言語です。データオリエンテッドな開発ツールで、データ構造を定義することにより、画面、帳票、グラフなどのプログラムを自動生成します。同時期にも様々な開発ツール(言語)がありましたが、その中でもMIRACLEのシステム開発生産性は非常に高いものでした。

)オランダで業務コンサルタントをしていた創業者Jan Baan(ヤン・バーン)は、渡米した際に黎明期のUNIXに触れ「これからはオープンシステムの時代が来る」と、一気にソフトウェアベンダーへかじ取りしました。

その後、Baan社がERP第一弾のTRITONをリリースした時、既にMIRACLEはバージョン4.3でした。LN関係者はピンときますね?

それゆえに、LN(業務系機能)はEnterprise Server(システム基盤)と各々のバージョンが違うのです。LNの最新バージョンは10.3ですが、システム内部のバージョンはLN :B61a9Enterprise Server:7.6a9です。わかり易く言うと、6.17.6です。

ちょっと話が散漫になりましたね。

この、MIRACLE改めTriton Tools改めBaan Tools改めLN Tools改め、LN Enterprise Serverの仕組みにより、5ユーザー(小さなWindowsサーバー)から数万ユーザー(UNIXハイエンドサーバー)までのスケーラビリティがあり、小さな町工場から巨大な工場までを、ひとつのERPでカバーできるのです。