そこで、今回は「見た目と操作性」に絞って、その変遷を振り返ってみたいと思います。
1.Triton(~1990年代半ば。日本国内ではTRIMCS)
基本的にはUNIXサーバー上で動作していたので、VT端末もしくは端末エミュレータを介して操作。当然キャラクターベースのユーザーインタフェース(CUI)。グラフ表示は「*」の数で表現していました。メニューには数字が並び「1. マスタ 2. 販売物流 3. 製造」という感じです。操作性も汎用機のそれと近く、汎用機から移行しても違和感は少なかったかと思います。
2.BaanIV(1990年代半ば~2000年頃)
Windows95の出現により、企業のコンピュータ端末として急速にWindowsPCが普及しました。BaanIVには「BW(Baan
Windows)」というクライアントソフトウェアが付属し、BWを介してERPを操作していました。出現当時、他のERPは、前述のCUIベースの操作画面が多かったなかで、「グレーのウィンドウ上でアイコンをクリック、グラフやチャートも表示」というグラフィカルベースのユーザインタフェース(GUI)は画期的でした。マウスに馴染んでいないご年配の方は、マウス操作に四苦八苦していましたが、学生時代からPCに慣れ親しんでいる世代には当然の操作性でした。
なお、そのような「マウス嫌い」の方向けにCUI(「BA(Baan ASCII)」インタフェース)でも操作できるようになっていました。
3.Baan5(1990年代後半~2000年代半ば)
「一人に一台のPC」という時代に突入し、マウス嫌いを公言するような人も少なくなり、前述のBW(Baan Windows)でのGUI操作が基本になりました。ショートカットキーをWindowsOSと統一し、ERP上のデータを「Ctrl+c」でコピーし、Excelに「Ctrl+v」で貼りつけるような操作も可能になりました。
また、インターネット(Webブラウザ)の普及により、Baan5にもWebブラウザベースのユーザインタフェース(「BI(Baan Internet)」)が出現しましたが、当時の技術レベル(ハード、ネットワーク)では、とてもレスポンスが悪く、本番運用で使用された例は少なかったかと思います。
4.LN(2000年代半ば~)
インターネット(Webブラウザ)技術の発展にともない、LNのユーザインタフェースもjavaをベースにしたWeb UI(WebTop)になりました。適切なWebサーバーを使用し、適切なチューニングをしていれば、C/S方式とのレスポンスの差はほとんどなくなりました。
また、先ごろ(javaではなく)HTML5をベースにした、新しいデザインのWeb UI(「LN UI」と言います)も発表されました。これによりクライアントPCへのjavaのインストールを不要とし、各種ブラウザ、OS、デバイスへの幅広い適用が可能になりました。
Infor LNは、「製造業の基幹業務システム」という地味なシステムですが、その時々のテクノロジーを取り入れて「いかにユーザーフレンドリーに操作性を向上できるか?」という視点でも成長を続けています。