LN関係者で、「MIRACLE」を知っている方は少ないのではないでしょうか。TritonやTrimcs、BMCSなどはこのブログにも書きましたが、MIRACLEについては未だどこにも書き起こしたことがありません。個人的には、このMIRACLE(Machine Independent Risc Architecture Computer Language Environment)が無ければ現在のLNは無かったと思っています。
ERPが普及した現在においても、グローバルで生産管理分野をERPで統一、統制している組立製造業は多くありません。それはなぜでしょう?
装置産業、プロセス製造業と比較すると、組立製造業の工場は、小規模であり、新設/移転が多く、製品/生産設備は一定ではありません。20年前と同じ場所で、同じ設備で、同じ部品を使って同じ製品を作っている組立製造業は亀の子たわし・・・他に何かありました?
そのような様々な環境変化に追従する必要があり、グローバルでシステム統一、統制することが一番難しいのが、組立製造業の生産管理システムだと思います(←人事給与や税金系などの国ごとに規制・法令対応が必要なシステムはさておき)。
さて、ここで「MIRACLE」の登場です。LN生みの親であるBaan社はハードウェアやOSに依存しないアプリケーションを作ることを第一義に掲げ、各社UNIX上で動作する開発環境を作りました(※)。これが「MIRACLE(Machine Independent
Risc Architecture Computer Language Environment)」です。開発言語は「Baan 4GL」というC言語を発展させた独自言語です。データオリエンテッドな開発ツールで、データ構造を定義することにより、画面、帳票、グラフなどのプログラムを自動生成します。同時期にも様々な開発ツール(言語)がありましたが、その中でもMIRACLEのシステム開発生産性は非常に高いものでした。
(※)オランダで業務コンサルタントをしていた創業者Jan Baan(ヤン・バーン)は、渡米した際に黎明期のUNIXに触れ「これからはオープンシステムの時代が来る」と、一気にソフトウェアベンダーへかじ取りしました。
その後、Baan社がERP第一弾のTRITONをリリースした時、既にMIRACLEはバージョン4.3でした。LN関係者はピンときますね?
それゆえに、LN(業務系機能)はEnterprise Server(システム基盤)と各々のバージョンが違うのです。LNの最新バージョンは10.3ですが、システム内部のバージョンはLN :B61a9、Enterprise Server:7.6a9です。わかり易く言うと、6.1と7.6です。
ちょっと話が散漫になりましたね。
この、MIRACLE改めTriton Tools改めBaan Tools改めLN Tools改め、LN Enterprise
Serverの仕組みにより、5ユーザー(小さなWindowsサーバー)から数万ユーザー(UNIXハイエンドサーバー)までのスケーラビリティがあり、小さな町工場から巨大な工場までを、ひとつのERPでカバーできるのです。