2015年5月26日火曜日

【製造業の基幹システム #15 ERP導入の成功と失敗】

今年に入ってから隔月での更新になっています。

「ネタが尽きた?」

いえいえ、そうではありません。実は沢山の原稿は既に執筆を終わらせています。毎月の公開前に客観的に読み直して、次から次にボツにしているうちに2カ月が過ぎている、というのが実情です。ボチボチと公開しますので気長にお待ち下さい。

 

さて、各ERPベンダーやパートナー各社のホームページには「導入事例」が紹介されていることが多いかと思います。そこで紹介している事例は、いわゆる「成功事例」ですが、何を以て「成功事例」ということができるのでしょうか。

ERPを導入後に経営に寄与するような効果があった。

ERPを使って業務が円滑に運用されている

などの事項が当てはまる事例が成功事例と言えるのかもしれませんが、ERPを提供する立場からみると、これらのような事項のみでは「成功事例」としてホームページ等に記載することはできません。重要なのは、

ERP導入企業の責任者が、そのERPもしくはベンダーを宣伝してくれるか?

と言うことです。

 

ERP稼働10年経過したA社を、ERP稼働直後のB社にご紹介させて頂いたことがあります。B社は稼働直後にトラブル続きで、業務運用にも支障をきたしかねない状態でした。

B社「このERPで、よく業務運用が出来ていますね~」

A社「?」

B社「どうやって○○業務の管理をやっているのですか?」

A社「○○のデータを使って分析するような仕組みを作りました」

B社「どこに開発を依頼されたのですか?」

A社「自分達で作りましたけど」

B社「うちには、そのようなスキルを持っている人がいないのです」

A社「うちにも居ませんでしたが、勉強させました」

 

A社の方は「別に大したことをやっているつもりは無いんだけどなぁ」という感じでした。

このままの状態では、恐らくB社が「成功事例」となることは永遠にないでしょう。B社のERP責任者が、そのERPを宣伝することは無いですから。

その後、B社は、ERPの責任者が変わり、「色々あったけど、自社のERP導入は成功した」という事例発表を行いました。もちろん、B社のERP運用については日々改善を進めていましたが、ここで重要なのは「『成功』と宣言した時点で『成功事例』になる」ということです。

同様に、「失敗」と宣言した時点で失敗事例になるとも言えますが、失敗事例をわざわざ公にするベンダーはいません。「これをやらないで失敗した」「これをやったので失敗した」という話は、公では無い場所でこっそり尋ねてみて下さい。