2015年10月7日水曜日

【LNよもやま話 #19 MRP】

今回は「MRP」の話です。MRPとは、Materials Requirements PlanningもしくはManufacturing Resource PlanningMRP II)とかの略です。MRPについて簡単に言うと、
いつ?何を?どれだけ?
買ったり作ったりすればよいのかコンピュータに計算させよう、ということです。
例えば、貴社にて10機種のパソコンを製造していたとします。パソコンの中には沢山の電子部品が入っています。それらの電子部品がパソコンの販売計画に基づいて計算された生産計画に合わせ用意されている必要があります。パソコンに組み込む電子部品がいつ必要なのか?そのためには、いつ部品を発注する必要があるのか?を計算させる仕組みがMRPです。
しかし、世の中は単純ではありません。
パソコンの組立に2日間必要である場合、パソコンの組立前に全部品を揃えると部品在庫を最長2日間抱えることになってしまいます。それならば組立工程ごとに部品を納入させればよいかと思うと、部品業者からの納入は1/週だったりします。さあ、どうしましょう?
モデルAの売れ行きが絶好調で生産量を増加させたいがモデルBは生産量を減らしたい。しかし、とうの昔に各々のモデルの部品は発注済みである。さあ、どうしましょう?
部品の製造業者が突然倒産した?さあ、どうしましょう?
前工程と後工程で工場が違う?さあ、どうしましょう?
生産の為の所要量計算だけでなく、サービスパーツの需要予測も必要。さあ、どうしましょう?
新製品の発売日が迫っているのに最終仕様が決まってなくて最終組立できません。さあ、どうしましょう?
設計変更で新部品を組み込むことになりましたが、旧部品の在庫がたんまりあります。さあ、どうしましょう?
これらの様々な要因を解決するための設定は、あなたが今使用しているMRPで可能ですか?

LNMRPでは上記のような例外、ただし製造業にとっては日常的に発生すること(←何か表現が変ですね)に対し、様々な機能を有しています。それは、LNが「複雑な製品と複雑なサプライチェーンをもつグローバル製造業」に育てられてきた結果です。

ボーイング社の工場の脇に、日本から空輸された主翼が雨ざらしで山積みされていたらシャレになりません。ちなみにボーイング社は純粋なMRPではなく、LNAssembly Planning & Controlという仕組みを使って高度な生産計画&管理をしています。この話は機会があれば。

そもそも御社では部品表や生産工程がデータ化されていない?まずは、そこから始めましょう。

(追記)

あるWebサイトに「MRPは中小企業を中心に普及してきた」という記述がありました。本当ですかね?

2015年5月26日火曜日

【製造業の基幹システム #15 ERP導入の成功と失敗】

今年に入ってから隔月での更新になっています。

「ネタが尽きた?」

いえいえ、そうではありません。実は沢山の原稿は既に執筆を終わらせています。毎月の公開前に客観的に読み直して、次から次にボツにしているうちに2カ月が過ぎている、というのが実情です。ボチボチと公開しますので気長にお待ち下さい。

 

さて、各ERPベンダーやパートナー各社のホームページには「導入事例」が紹介されていることが多いかと思います。そこで紹介している事例は、いわゆる「成功事例」ですが、何を以て「成功事例」ということができるのでしょうか。

ERPを導入後に経営に寄与するような効果があった。

ERPを使って業務が円滑に運用されている

などの事項が当てはまる事例が成功事例と言えるのかもしれませんが、ERPを提供する立場からみると、これらのような事項のみでは「成功事例」としてホームページ等に記載することはできません。重要なのは、

ERP導入企業の責任者が、そのERPもしくはベンダーを宣伝してくれるか?

と言うことです。

 

ERP稼働10年経過したA社を、ERP稼働直後のB社にご紹介させて頂いたことがあります。B社は稼働直後にトラブル続きで、業務運用にも支障をきたしかねない状態でした。

B社「このERPで、よく業務運用が出来ていますね~」

A社「?」

B社「どうやって○○業務の管理をやっているのですか?」

A社「○○のデータを使って分析するような仕組みを作りました」

B社「どこに開発を依頼されたのですか?」

A社「自分達で作りましたけど」

B社「うちには、そのようなスキルを持っている人がいないのです」

A社「うちにも居ませんでしたが、勉強させました」

 

A社の方は「別に大したことをやっているつもりは無いんだけどなぁ」という感じでした。

このままの状態では、恐らくB社が「成功事例」となることは永遠にないでしょう。B社のERP責任者が、そのERPを宣伝することは無いですから。

その後、B社は、ERPの責任者が変わり、「色々あったけど、自社のERP導入は成功した」という事例発表を行いました。もちろん、B社のERP運用については日々改善を進めていましたが、ここで重要なのは「『成功』と宣言した時点で『成功事例』になる」ということです。

同様に、「失敗」と宣言した時点で失敗事例になるとも言えますが、失敗事例をわざわざ公にするベンダーはいません。「これをやらないで失敗した」「これをやったので失敗した」という話は、公では無い場所でこっそり尋ねてみて下さい。

2015年3月31日火曜日

【LNよもやま話 #18 BaanIVとLNの違いって何?】

Infor LNの前身のひとつが1996年にリリースされたBaanIVですが、現時点でもBaanIVを使っている企業は数多くあります。なぜ、そんな昔のERPが今でも使用出来る理由についてはLNよもやま話 #12 Porting Setって何よ?】をご覧頂くとして、BaanIVからLNへアップグレードについてご相談頂くこともあります。今後もBaanIVは最新プラットフォーム上で動作し続けるので、アップグレードする理由が無ければ無理やりアップグレードする必要はありません。
もちろん、BaanIVからBaan5、そしてLNになる過程で数多くの業務機能、技術機能が追加、改善されています。もし、下記のような「BaanIVでは出来なかったことがLNでは出来ること」に大きなメリットを感じるBaanIVユーザーはLNへのアップグレードを検討してみては如何でしょうか?

BaanIVLNの主要な相違点>
・各種オーダの桁数が6桁から9桁になった
・各種オーダに日付だけでなく時間(時分秒)を持つようになった
・品目桁数が16桁から38桁になった
・カスタマイズ工順、カスタマイズBOMが標準工順、標準BOMと同一テーブルになった
PRPDRPMRP機能が、ひとつの処理にまとめられ、1回で全てを実行できるようになった
・販売、購買などの全ての入出庫処理がひとつの機能にまとめられた
・販売、購買などの全ての請求処理がひとつにまとめられた
・製造、プロジェクトなどの全ての時間会計処理がひとつにまとめられた
・顧客、仕入先マスタがひとつのマスタにまとめられた
・販売、購買オーダステップに「自動実行」フラグが付いた
・ロットとシリアルを並行で持てるようになった(どちらでもトレース可能)
・会計ディメンションが最大12種類になった
・サービス管理機能の大幅な機能拡張
UIWebブラウザになった(BWのインストール不要)
・画面表示項目の選択や見出しの変更が使用している画面から出来るようになった
・データの条件により(例:納期遅れ)データの表示色を変更できるようになった
・ユニコードの採用によりひとつのインスタンスで多言語を取り扱えるようになった
・各種名称を多言語で持てるようになった
Excelへのデータエクスポート、Excelからのデータインポートが画面からボタンひとつで可能
・ライセンス管理の仕組みがERPから独立した(複数ERP環境をまとめて管理可能)

ここに挙げた以外にも数多くの機能追加、改善がありますが、コンセプトとしての違いもあります。BaanIVが開発された当時のコンセプトは、「製造業のためのERP」でしたが、世間一般的には「工場のためのERP」と理解されることもありました。現在の製造業においてはグローバル分業化が進み、かつグローバル統制管理が要求され、より一層の変化対応力も要求されます。これらの要求に応えるためのERPとして「真のグローバル製造業のためのERP」というコンセプト(単に工場の業務管理システムではない)で更なる進化を続けているのがInfor LNです。


ちょっと表現が大袈裟ですかね?

2015年1月30日金曜日

【LNよもやま話 #17 MANMAN、MKって聞いたことありますか?】

いきなりですが、貴社、もしくは貴社の関係する製造業で「MANMAN」「MK」というアプリケーションを聞いたことはありませんか?

もし、使っている、使っていたという話を聞いたことがあるのであれば、次の質問です。

実は、「MANMAN」「MK」もInfor LNの傍流であるということをご存知ですか?
 

Infor LNの源流をたどれば、オランダのBaan社(英Invensys社に買収後、米SSA社に買収。現InforSSA社をまるごと買収)にて開発された製造業向けERPであることは以前にも書きました。

1980年代から90年代にかけて、オランダの小さなソフトウェアベンダーであった旧Baan社は開発したアプリケーションを世界に拡販するために、そのソフトウェアをいくつかの会社へOEM供給しました。OEM先はHP社であり、ASK社などです。

HP社にOEM供給されたERPは「MANMAN/HP」と呼ばれました。またASK社にOEM供給したERPは「MANMAN/X」と呼ばれました。本家のBaan社では「BMCS」「TRITON」と呼んでいたころの話です。

OEM先では、MANMANに独自の改造、追加を加え、(当時のBaan社とは比べ物にならない)広い自社グローバル・ネットワークを使って世界中の製造業へ「MANMAN」を販売しました。

その後、ASK社は米CA社に買収され「MKManufacturing Knowledge)」というビジネスユニットとなり、「MANMAN/X」も「MK」に改名されました。

もちろん、OEM供給された「MANMAN」「MK」も、現Infor LNと同様の技術基盤(※)を持っていますので、長年にわたり製造業の基幹システムとして使われていました。

(※)お暇があれば、LNよもやま話 #12#13をご参照下さい。

 
その後、CA社のビジネスユニット「MK」は、製造業向け以外のアプリケーションも取り扱う「interBiz」というビジネスユニットに統合されました。

ここで、Infor社マニアの方は気付いたかもしれません。Infor社が買収した、旧SSA社は2002年(2003年にBaan社を買収する前!)に、CA社から「interBiz」を買収しています。

うーん、ややこしい話ですね。

簡単に言うと、1992年に旧Baan社から旧ASK社へ旅立ったアプリケーションが世界中をぐるりと回って、結局は現Infor社が所有しているという話です。
 

もし、貴社、もしくは貴社の関係する製造業で「『MANMAN』『MK』を20年使っているのだけれど、そろそろ次期ERPを検討しようと考えている」というような話を耳にされたら、是非Infor LNを第一候補に推薦して下さい。次の20年、もしくはそれ以上の年月をInfor LNで管理することが出来るはずです。