2014年10月29日水曜日

【製造業の基幹システム #13 ERPの選定について】

前回は「次回は楽しい話が書けたらいいな」と終わったにも関わらず、余り楽しくない話になりそうです。

さて、いきなりですが

ERP導入を検討している製造業のほとんどはERPを選定する能力がない」

と思います。

頭に「日本企業の」と付けてもいいかもしれません。

多くのERP導入を検討している企業は次のようなステップで選定を進めるかと思います。

1.課題の認識

2.情報収集、調査

3.新システムの目標、目的の明確化

4.新システム構想策定

5.各社へ提案、見積依頼

6.提案、見積結果の評価

7.最終選定・契約

これらのステップのいくつか、もしくは全てに外部の人間を参画させていますか?もしくは自社の選定プロジェクトメンバーに他社でのERP選定・導入経験がある人物は含まれていますか?

財務会計や人事給与システムであれば、「なんとなく使い易そう」「プロマネやる予定の人はいい人そうだ」「初期費用が一番安価だ」という選定方法でよいのかもしれませんが、生産管理を中心とした製造業の基幹システムをそのような基準で選定していいものでしょうか?

綿密に自社の仕組みや候補としたERPの仕組みを調査・検討・評価しているから大丈夫という訳ではありません。逆に、自社の文化や業務、既存のシステムを知り尽くした人ほど、自社ERPの選定においてはネックになる場合もあります。

なぜならば、ERPの選定、導入には必ず取捨選択が必要だからです。「この機能は絶対に必要」「この画面では業務は回らない」・・・本当にそうでしょうか?かつて良く言われた「ERPはベストプラクティス」という言葉は好きではありませんが、自社で思い描いた新システム像を押し通すことによる様々なリスクやデメリットがあることを忘れてはなりません。

もちろん、選定を外部へ丸投げすることも避けるべきです。培ってきた自社の文化や強みを新システムに吹き込むには必ず自社のメンバーが責任ある立場で選定することが必要です。

『提案プレゼンテーションが上手な会社が必ずしもERP導入が上手とは限らない』

ということを十分に認識する必要があります。

これらのことを踏まえたERPの評価・選定は、ERPの選定・導入を経験した人ではないと不可能です。はっきり言います。不可能です。

冒頭に書いた

ERP導入を検討している製造業のほとんどはERPを選定する能力がない」

とは、そのような人がERPの評価・選定に参画していない場合のことを言っています。

そして、そのような場面に良く遭遇するということです。